道重さゆみのダンゴムシトークをふりかえる。

今週水曜日、つまり4月16日にはモーニング娘。36枚目のニュー・シングル、「リゾナント ブルー」が発売される。高橋愛、田中れいなのツートップ体制が強調された、大人っぽくてカッコいい曲だ。すでに「ヤングタウン土曜日」などでも話題になっているように、道重さゆみのソロ・パートは「うーん」「はーい」「ヘルプ・ミー!」のみ。このことを「ヤングタウン土曜日」ではネタにして、「今夜もうさちゃんピース」では「日本語は一切歌っていません」などという言い回しをしたりしている。結果、先週のアメーバ・スタジオからの生放送などを見ると、道重さゆみの「ヘルプ・ミー!」を待ち構えるかのように多数のコメント書き込みがあったりと、おいしいネタになっているようだ。

というわけで、今週はプロモーション週間ゆえに、ほぼ毎日、モーニング娘。メンバーがテレビやラジオに出演する。道重さゆみはレギュラーのラジオ2本に加え、ラジオやネット配信番組に出演したりする。金曜日深夜には日本テレビ系列の音楽番組、「音楽戦士 MUSIC FIGHTER」に出演する。この番組には新曲が発売されるたびに出演しているが、モーニング娘。の扱いはどんどん小さくなり、最近では番組メインのトークコーナーに呼ばれることもめっきり無くなってしまった。過去の動画を探索すると、かつては司会の青木さやかと道重さゆみがかわいいとかかわいくないとか言い合ってバトルしていたり、同じく司会のキングコングにボケとツッコミのお約束を試されたりしていたようだ。

収録観覧者からの情報で、今回は久々にトークコーナーに出演しているということが分かった。しかもトークはかなり盛り上がり、中でも道重さゆみはかなり目立っていたという。キングコングの梶原雄太が思わず「モー娘。おもろいなあ」と呟いていたという書き込みもあった。要は番組でどれだけ使われるのかという問題である。待ちきれずに、数秒間でも見ることができればと思い、先週の放送の予告編を見た。

予告編が始まってすぐに、いきなり道重さゆみがアップになる。席は前列4人のうち、向かって右端のキングコング・梶原雄太側だ。「(モザイク)を引き出しの中で飼ってるんですよ」というテロップが出て、キングコングの西野亮廣が「えーーーー!」と大きなリアクションを取る。ふたたび道重さゆみがアップで「5匹ぐらい連れてきて...」、手を叩いて大笑いする青木さやかと西野亮廣、身の気がよだつといったポーズを取る他のメンバーたち。「道重が飼っている謎の生命体とは!?」というテロップが出たあと、道重さゆみのアップでストップモーションになるのだが、この瞬間のしてやったりという表情が実にいい。これは本編を見るのが実に楽しみだ。

さて、この引き出しの中で飼っている謎の生命体だが、やはり「今夜はうさちゃんピース」で小学生時代のエピソードとして話していたあれのことであろう。以下、2007年2月1日に放送された分の書き起こしである。

「さゆみは小学生の時はすごい地味で、おとなしくて、静かでした。
なんか、だからといって勉強も好きなわけでなく、なんかほんとにパッとしない小学生というか...
だってなんか...あんまりよろしくないお話なんですけど、あの、だんご虫っているじゃないですか。さわったら丸まるだんご虫っているじゃないですか。あれを学校の...あの、行き道に持ってって、そのまま5匹ぐらいずっと手の中に入れといて、で、授業中とかも机の引き出しの中に自分で紙とかで箱を作ってだんご虫のお部屋とかを作って、で、紙とかですべり台とか作ってコロコロとか転がして、そういうので楽しんでるぐらい、なんかちょっと変な子だったんですよね。だから今こうやって、なんか元気にしゃべってるのが不思議なぐらい、おとなしかったです」

昨年のこの回が放送された頃、オレはたまたま開いた2ちゃんねるのモ娘(狼)板のスレッドで、このエピソードを知った。この時点で、オレは「今夜もうさちゃんピース」を1度も聞いたことがなく、道重さゆみのことはちょっと天然入って自己愛が強いイタイ女の子という印象しか持っていなかった。小さい子供に混じって「オシャレ魔女ラブ&ベリー」に並んでいるというエピソードや、「カオスじゃないの キュートでプリティーなの」といった台詞に象徴されるモ娘(狼)内の各種ネタスレッドの影響が強かったと思う。しかし、このダンゴムシのエピソード、そして、同番組2007年2月15日放送分で話された以下のエピソードを聞き、大きく印象が変わった。

「あの、さゆみ、みちし「げ」じゃないですか、だから、小学生のときに、あだ名が「みちし原人」だったんです。ほんっとくだらないんですけど、すっごいそれが嫌で、いっつもなんか男子とかに「みちし原人」「みちし原人」って呼ばれてて、もうほんっとにそれが嫌で、もういっつも、もう悲しくて学校に行きたくない思い出だったんで、それがいますごい蘇ってきたんで言ったんですけど」

これを知った時に感じたなんともいえない切ない感情は、オレの潜在意識の中に眠っていた何かを確実に覚醒させた。さらには気になって見たCBCラジオの番組公式ホームページでは、道重さゆみの私物の髪飾りが公開されていて、それは小学生時代に女子が付けていたような、うさぎの付いた実にかわいらしいものだった。そして、sべてを理解した。この子は本物なのだと。そして、その自己愛の起源すらも分かったような気がした。オレが熱狂的な道重さゆみ信者と化すのに、時間はそれほどかからなかった。

「今夜もうさちゃんピース」において、道重さゆみはこれを面白エピソードとして話したのだろうか。どうもそうではないような気がする。その後、「ヤングタウン土曜日」でも話したところ、明石家さんまと村上ショージは一瞬リアクションに困っていた。まだレギュラーになりたての頃で、アイドルが語るエピソードとしては想定外だったのだろう。しかし、じわじわ効いてきたようで、この話題については色々と突っ込まれていた。この「ヤングタウン土曜日」ではさらに続きが話されていて、次の日学校へ行くと、ダンゴムシは引き出しの中でカピカピになって死んでいたらしい。「食べ物は何もあげなかったのか?」という突っ込みに対しては、「ダンゴムシって何か食べるんですか?」などと聞き返していた。

これはあくまで小学生時代のエピソードとして語られたものなのだが、「音楽戦士 MUSIC FIGHTER」の予告編を見ていると、どうやら今現在のこととして話されているようだ。明石家さんまや村上ショージにも受けたこのエピソードを鉄板ネタにするべくアレンジしたのだろうか。それにしても、笑いを取った後の道重さゆみが、実にいい顔をしている。

「ハロモニ@」を見ていても思うのだが、特に最近は意図的に笑いを取っていく場面が多く見られる。赤チン国王の声をやっている平成ノブシコブシの吉村崇もモーニング娘。のメンバーで一番お笑いのセンスがあるのは「ダンゼン、道重ですね」と言っていたが、基本的なボケ、ツッコミが分かっている。その上でどんどん前に出て行く。すべることも多いが、積極性がひじょうに出てきている。明石家さんまや村上ショージと「ヤングタウン土曜日」で共演しているうちに鍛えられているということもあるのだろうが、「親方」などとからかわれて泣いたり怒って鉛筆を投げたりしながら、それを乗り越えて、その自身によって自己愛と自虐をうまくコントロールできるようになったのが大きいのではないかと思う。この1年間での精神的成長は目を見張るものがあり、ではオレはどうなのかと、身が引き締まる思いである。

道重さゆみの今後のタレントとしての方向性であったり可能性だったりというのは、よく掲示板などで語られているが、ここ最近のエロキャワおもろ路線は結構いいんじゃないかと思う。最近のバラエティー番組に出てくるアイドルというのは、笑いは取れるものの退廃的で品が無い者が多い。道重さゆみの笑いにはバックボーンに故郷だとか家族だとかがあり、それでいてかわいくておもしろいというのはなかなか無いパターンであり、この路線を突き詰めていけばいいのではないかと思うのだ。

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道重さゆみがモーニング娘。ではなかった頃。

最近すっかりラジオ書き起こしばかりになってしまったが、かつては「マジヲタブログの極致。道重さゆみというアイドルを通した自分語り」などと評された時代もあったわけでございます。数少ない当時からの読者のみなさんはご存知のとおり、オレの中で道重さゆみの顔と名前が初めて一致したのは2006年6月にたまたま観た「ハロー!モーニング」でのことであり、本格的に道重さゆみ個人のことが気になりはじめてからは、まだ1年ぐらいしか経っていない。

道重さゆみについては初期の超絶美少女ぶりを絶賛する声が多いが、オレにとっては現在形の道重さゆみこそが重要であり、過去の映像、音源などについては参考資料程度に考えていて、それほど重要視はしていなかった。それでも心優しいさゆヲタの方が見ておくべき過去のさゆ映像をまとめてくれたりして、エリック亀造の毎度あり~だとかお姉ちゃんと電話でお話だとか線香花火ソロをバックにした超絶美麗浴衣みんとかはいちおう押さえていた。そして、加入直前の合宿における特訓の様子についても。

亀井絵里、道重さゆみ、田中れいなのいわゆる第6期メンバーのモーニング娘。加入が正式に発表されたのは、2003年1月19日、いまから5年以上も前のことである。当時、オレは板橋区の某店舗において管理責任者としての仕事をしていたのだが、そこではJ-POP最新ヒットの有線放送チャンネルを流すことが推奨されていて、実際にそのような商品も扱っていた。この会社に入社したのが、1998年の6月であり、日本のポップ文化にほとんど興味関心がなく、NMEなどで取り上げられている洋楽のインディー系ロックを主に聴いていたオレは、商品知識を習得するために、「COUNTDOWN TV」などを毎週観て、売れている日本の音楽について一生懸命勉強していった。入社した週のランキング上位には、the brilliant greenとかEvery Little Thingとかが入っていたり、GLAYとかラルク・アン・シエルとかLUNA SEAとかがやたらと人気があったが、この時点でオレはこれらのアーティストの曲を一切知らなかった。そんな中で、「サマーナイト・タウン」だとか「抱いてHOLD ON ME」だとかによって、当時の流行アイドル・グループのひとつとして、モーニング娘。を認知するに至った。

オレが高校生だった頃は80年代のアイドルブーム真っ盛りであり、洋楽と並列的にアイドルの楽曲もよく聴いていた。当時は日本のロックというものもあまり確立していなく、はっぴいえんどやYMO周辺の優秀なミュージシャンが作家としてアイドルに楽曲提供したりプロデュースしたりという状況もあり、日本のポピュラー音楽界でも、アイドルポップスの中にはかなり高品質な作品も数多かった。新人類ブームなどというものもあり、現代思想などのアカデミックな話題とアイドルのことなんかを同列に語ることが一部で流行ったりしたこともあった。これを象徴する書物が新人類トリオこと野々村文宏・田口賢二・中森明夫による鼎談集「卒業-KYON2に向かって」であり、雑誌としてはレギュラー陣や読者による考察、レビューが中心だった「よい子の歌謡曲」というのがあった。この「よい子の歌謡曲」にはオレも何度か投稿し、掲載してもらったことがある。また、これに飽き足らず読むアイドル誌こと「歌謡曲まがぢん」なる手書きコピーのミニコミ誌を当時高校生にして編集発行していたりもした。

モーニング娘。を認知したオレが過去のアイドル好きが復活して盛り上がったかというと、そんなことは一切なく、当時のモーニング娘。の楽曲に濃厚だったセクシュアリティーが、オレがかつてアイドルポップスに求めていたものとは異なっていたのと、当時の厚底ブーツ、ルーズソックス、ギャルメイク、援交感覚といった女子高生のイメージにまったく良いものを感じていなかったため、あくまで流行グループの1つとして認知するにとどまった。しかし、「真夏の光線」と太陽とシスコムーンのいくつかの曲については、有線放送で聴いて素直にいい曲だと思った。

その後もずっとJ-POPのヒット曲が流れ続ける環境で仕事をしていたため、モーニング娘。及びその派生ユニットのシングル曲はほとんど聴いている。「LOVEマシーン」以降の大衆路線、また、ミニモニや「ひょっこりひょうたん島」などの子供向けの展開などは、実は俳諧趣味の延長であったオレのアイドルポップスに対する愛着とはより一層かけ離れたものになっていき、モーニング娘。とオレとはおそらく永遠に交わることなどはないだろうというのが、ほぼ確信に近い状態になっていた。

2003年の夏ぐらいに、仕事場の棚の中に液晶モニターを設置し、そこで業者から送られてきたDVDを流すようにした。深夜に設置が完了し、ためしにDVDを再生してみると、その1曲目がモーニング娘。の「シャボン玉」だった。やたらと人数が多くなって、まったく知らないメンバーも何人かいる。そして、全体に漂うよく分からない必死さ加減や初めて感じたB級っぽさが若干引っかかったが、特に気にすることはなかった。思えば、この中に道重さゆみがいたわけである。

この数ヵ月後にそれまでとは異なった業態の中野区の店舗に異動になり、そこでは好き勝手な音楽をかけてもよかったので、ストロークスとかリバティーンズとかフランツ・フェルディナンドとかを自由にかけていたので、それからしばらくモーニング娘。の曲を聴くことはほとんど無くなった。

今回、あるきっかけで第6期メンバーの合格発表があったテレビ番組をはじめて通して見ることができた。軽い気持ちで見始めたのだが、結局一気に見てしまい、かなり感動した。

第6期メンバー加入時には、まだ安倍なつみや保田圭が所属していたというのにも驚いたが、司会が徳光和夫アナウンサーというあたりにも、現在と比べるとモーニング娘。自体がかなりメジャーな存在だったのだということを感じる。

現在は、亀井絵里、道重さゆみ、田中れいなというおそらく誕生日順の並びが通例となっているが、この番組では亀井絵里、田中れいな、道重さゆみの順番になっていて、随所において道重さゆみがいわゆるオチ的に使われている場面が見られる。番組は最終選考に残った3名が合格か否かを決める2泊3日の合宿に参加し、そのVTRをメンバーが見るという内容が大半を占める。合宿の時点では、合格者が誰なのかはもちろん、何名なのかすら決まってはない。合宿では、「DO IT NOW!」のダンス、「赤いフリージア」の歌唱のトレーニングがそれぞれ行われた。番組では、この3人はトレーナーに対する反応の薄さなどから、これまでのメンバーとはちょっと違う問題児として扱われている。あまりの響かなさに涙をこぼしてまで熱くぶち当たるトレーナーの姿に、スタジオで見ているメンバーが感動する場面などもある。

このオーディションへの応募は、「DO IT NOW!」歌唱のビデオによって行われたのだが、番組ではこの3人の応募ビデオも一部放送されている。カラオケボックスで収録している亀井絵里、田中れいなに対し、おそらく自宅で撮ったと思われる中学1年生の道重さゆみの姿がまたほほえましい。しかも、アイドルに憧れる女子がよくやるような振りまね付きというのがまた実に良い。3人が選抜された時点でのつんく♂Pの道重さゆみ評は以下の通り。

「まあ彼女はまあ正直に歌はぜんぜん上手じゃないんですけども、あの、まあマイクに向かうその姿勢ですよね。まあ要するに目線というかまなざしというか向いている方向っていうのはすごく力強いものを感じましたね。うん。まあ今後ぜんぜんどっちにでも、どういうふうになるんでもまだまだものすごい未知数を持っている。だけど本人自体は塊ものすごい強いものがあるので、あとはまあ歌に関してはもう僕がはっきり...ええ、トレーニングしていきますので問題ないでしょう...と思います」

合宿における道重さゆみの歌の個別トレーニングシーンはまさに壮絶なものである。道重さゆみの歌唱力はいまもって技術的に高いものではないが、この時点では声が小さく音程もまともに取ることができないという状態。しかも、初日のレッスンでトレーナーの指導に対して、一言「できません」と言ってしまったがために、叱責を受け、その後は泣いてしまい、結局まったく歌えないまま終了してしまう。亀井絵里がリズム感、田中れいなが表現力という課題に取り組んでいるのに対し、道重さゆみはそれ以前の根本的な問題への取り組みが必要という段階である。1日目では、田中れいなも課題曲を一切覚えていないということでトレーナーをブチ切れさせる。しかし、翌日にはしっかりと覚えて堂々と歌いこなしたあたりは感動的であった。

2日目のレッスンでは割り箸をくわえたり片腕を上げて音程をとったりという独自の訓練を受ける。1時間以上腕を上げたまま歌い続けるという過酷なものだが、この成果があり、みるみるうちに音程が取れるようにんていく。これにはスタジオで見ていたメンバーや徳光アナウンサーも感動していた。

合宿終了後、ダンスと歌唱のVTRを見てつんく♂がオーディションの合否を決めるのだが、「赤いフリージア」を歌う道重さゆみを見たつんく♂評は以下の通り。

「こいつはほんま面白いね。うーん、なるほど。もう、あれやな。アーティストやな。あの、この子自体が作品やな、これは。おー、すごいなぁ。ある意味師匠やな、オレのな。ワシであることがワシやねん。師匠、お願いします、みたいなな。うーん。でも合宿でだいぶ変わったよな、この子。やったったーって顔してるな」

この後、合格発表、メンバーとの初対面シーンなどが続き、番組は終了する。

おそらくこの翌週に放送されたと思われる合格発表の裏側的番組では、道重さゆみは今後に対する意気込みを以下のように語っている。

「モーニング娘。の道重さゆみです。まずはメンバーと仲良くなって、どんどん頑張っていって、センターを取りたいです」

このときから5年間が経過した。真っ白な無限の可能性は具体化し、いくつかは実現したり新しく見えてきたり葛藤してあきらめたりしたものもあるのかもしれない。そのようにして物語はまだ続いていくのだろう。

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